キナバタンガン川の遡上で、
僕たちはたくさんの生き物をみた。
短い滞在の半分以上が、
カヌーによる動物観察だ。
それは、ボルネオ島の生き物たちが
鬱蒼としたジャングルの中では、
完全にカモフラージュとなっていて、
野鳥一羽でさえも
森の中から観察することは難しい
という現実があったからだ。
特に野鳥を観察する場合、それは顕著になる。
太陽の眩しさにやられ、
すっかり汗をかき、クタクタになった。
ロッジまでのちょっとした坂道が堪える。
そんな中、ボートから少し離れたところに佇む
数羽の鳥が気になった。
茂みを掻き分け、進んでいく。
しかしかなりの音を立ててしまっていた。
普通なら逃げてしまうように思ったが、
意外にもそのまま佇んでいる。
そのプライドの高さには、心当たりがある。
案の定、ボルネオのカンムリワシであった。
カンムリワシ自体は船で何度も観ていたが、
森の中で出会った鳥の中で、一番大きい。
ワシは、横着にも目だけをこちらに向け
僕をしっかりと見つめていた。
その視線に、
ピリついた雰囲気を感じ取っていた。
普段、こういう時に
写真を撮るということはしないのだが、
がっしりとした肩幅と、
その視線が美しかった。
タカの吸い込まれそうな視線は、
何度経験しても、
慣れることはないだろう。
鷹の目というのは、
それだけ、生き生きとしている。
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