学名:(Uria aalge inornata)

天売島のウミガラス 撮影:高橋レオ

ウミスズメ科の海鳥で、オロロン鳥の愛称で親しまれている。ウミガラスは5~8亜種が確認されており、太平洋には inornata と californica の2亜種が生息し、ワシントン州以南を除く北太平洋には亜種 inornata が分布する。天売島の個体群の遺伝学的関係はまだ明らかとなっていない。

分布

北半球寒冷地域に分布する。国内ではかつて松前小島、天売島、ユルリ島、モユルリ島、根室市落石岬に繁殖コロニーがあったが、現在は天売島のみ。天売島の個体数も一時期は10数羽まで減少したが、繁殖巣棚の移動、デコイの設置などが行われ、2011年には20数羽まで増加、2022年現在、100羽を越えたことが報告されている。

生態

 

採餌の時には140mまで潜水することがあるが、通常の採餌では20~50m程度潜水し、主にイカナゴ、カタクチイワシ、ニシン、ホッケ、アイナメ、スケトウダラなどの魚類を採餌する。

ケイマフリとウミガラス 撮影:高橋レオ
ケイマフリとウミガラス 2016年6月撮影:高橋レオ

繁殖期になると亜寒帯の離島や海岸の断崖で集団営巣し、コロニーの密度は、多い時には1㎡に20つがいとなる。天売島においては、3月中下旬に飛来し、繁殖地周辺で群れをなして大半の時間を海上で過ごす。

5月下旬になると、巣を作ることなく地面に直接大きな洋梨型の卵を1個産む。つがいは一夫一妻で、6月下旬に孵化し、子育てを行う。巣立ち後は、45~60日間海上でオス親がヒナの世話をする。

非繁殖期は冬鳥として北日本の海上に渡り、太平洋側では銚子沖、日本海側では舳倉島や隠岐で記録が確認されている。越冬期に日本周辺海域に飛来するウミガラスには、天売島の個体群だけではなく国外の個体も含まれる。

ウミガラス冬羽 撮影:高橋レオ
ウミガラス冬羽 2019年1月撮影:高橋レオ

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