学名:Drepanosurus uchidai

キタホウネンエビのメス 2022年5月撮影:高橋レオ
キタホウネンエビのメス 2022年5月撮影:高橋レオ
キタホウネンエビのオス 2022年5月撮影:高橋レオ
キタホウネンエビのオス 2022年5月撮影:高橋レオ
キタホウネンエビの顔 2022年5月撮影:高橋レオ
キタホウネンエビの顔 2022年5月撮影:高橋レオ

分布

北海道、青森県下北半島。

北海道では海岸に春の間だけできる融雪プール(池のようなもの)に発生する。

生態

5月初旬から6月上旬にかけてできる沿岸部の融雪プールに発生。

海が6000年かけて徐々に陸化していく過程で形成された「砂堤列」という地形の起伏に、4月ごろ雪解け水が溜まる。その水溜りは落ち葉などのタンニンが溶け出し、水が赤褐色となっている。

*エビではなく、ミジンコ亜綱と呼ばれるプランクトンの仲間。生きた化石である。

年によって、発生数の変動がある。

次の年に雪解け水が流れ出し池になるまで、卵は乾燥に耐えることができる。

キタホウネンエビのオスがメスを追いかける 2022年5月撮影:高橋レオ
キタホウネンエビのオスがメスを追いかける 2022年5月撮影:高橋レオ
キタホウネンエビの交尾 2022年5月撮影:高橋レオ
キタホウネンエビの交尾 2022年5月撮影:高橋レオ

私見

甲殻類でありながら殻がない、というこれほどまでに面白い生き物を、「その他」なんていう大雑把な枠組に入れてしまうのはなんとも心苦しいのですが、そんなことを言えば、植物も菌類も微生物も可哀想なので、僕も僕なりに編集者としての都合を、彼らに押し付けなければなりません。

キタホウネンエビは、現時点で青森県下北半島と、石狩の沿岸部にしか生息していない。もっといると思いたいのだが、石狩沿岸の砂堤列の地形などを見ても、似たような環境はそこまで多くない気がするので、環境省のレッドデータブックも情報不足と片付けたりはせず、なんらかの対策を練って頂きたいと個人的には思っている。石狩の巨大な湿原が存在していた頃は、本当にたくさんいたんだろうなあ。彼らが何千年も前から生きてきた場所を、僕たちは海水浴場にしてしまった。それを罪で終わらせず、いつか、写真だけでなく、なんらかの形で彼らにお返ししたいと思う。湿原を守り、後世に繋いでいく事は、僕の夢の一つでもある。

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