学名:Grus japonensis
分布
大韓民国北部、中華人民共和国、朝鮮民主主義人民共和国、日本(北海道)、ロシア南東部に生息。
生態
1924年、釧路湿原で再発見されるまでは絶滅したと考えられていたが、1960年代、日本野鳥の会と伊藤義孝氏が給餌をはじめ個体数が増加。現在、1500羽ほどの生息が推定されている。
日本で繁殖する唯一の野生ツル。
*主に北海道の釧路湿原に生息していたが、近年急速に分布を拡大させている。道東だけでなく、帯広方面や、石狩、苫小牧でも繁殖が行われているとされている。
雑食で、魚や昆虫の他にも穀物などを食べるため、個体数の多い釧路近郊ではしばしば畑の農作物に被害を与えることもある。現在、鳥インフルエンザなどの感染拡大を防ぐため、釧路市の給餌場では餌の量を減らすなどの対策がとられている。
繁殖期は5月から7月。湿原、里山や草原などの餌の豊富な場所でナワバリを形成する。
世界の総個体数は3,050羽とされ(IUCN Red List,2016)、種の半数以上が北海道東部を中心に生息。(環境省HP引用)
絶滅危惧Ⅱ類(VU)
私見
北海道を代表する湿原の守護神といえば、このタンチョウ。猛禽類や大型の哺乳動物から感じとるような、臆病さはあまりなく、どちらかというより、勇敢さをどんな鳥よりも感じる。子供を守るために僕の前に飛び出してきたりする大胆さもさながらだが、あの大きな声で仲間同士の小競り合いをしている姿も、優美で迫力がある。
そんな強かなタンチョウも、限られた北海道の湿地で雄大に生きていくのは、それなりに大変なのだと思う。体も大きいし、1つがい毎にテリトリーを持っていたりするから、タンチョウに出会うと、この土地もきっと豊かなんだろうなということは、漠然ながら安易に想像がつく。江戸時代ごろまでは東京湾あたりにも飛んできたというけど、数が増えたいま、関東まで飛んで来ることはあるのだろうか。北海道以南の湿地帯がほとんど壊滅している現代において、僕たちがタンチョウのためにできることはなんだろう?写真家の僕にできることはなんだろう?そんなことを、タンチョウに出会うたびに考える。
彼らの行動を自然の中で視ていると、タンチョウを取り巻く大きな北海道の自然までもが眼球の裏側に見えてきて、心が張り詰め、またあったかくもなる。