学名:(Picus canus jessoensis)
分布
本種は全部で11の亜種に分かれている。日本では北海道にのみ分布する。
日本固有種アオゲラと近似していることから「しまあをげら」ともかつては呼ばれた。
亜種11種
- Picus canus canus 基亜種(ヨーロッパのフランス、スカンディナヴィアからシベリア)
- Picus canus jessoensis 亜種ヤマゲラ (北海道、サハリン、朝鮮、中国北東部、シベリア東部、南コーカサス(中東))
- Picus canus guerini(中国北・中部の四川省中部から長江沿岸)
- Picus canus sobrinus(中国南東部の広西チワン族自治区から福建省およびベトナム北東部)
- Picus canus tancolo(海南島、台湾)
- Picus canus kogo(中国中部の陝西省から青海省、四川省北部)
- Picus canus sordidior(チベット南東部から中国南西部の四川省、雲南省、およびミャンマー北東部)
- Picus canus hessei(ネパール、インド北部からミャンマー、中国南部、タイ、ベトナム)
- Picus canus sanguiniceps(パキスタン北東部からインド北部、ネパール西端部)
- Picus canus robinsoni(マレーシアのタハン山(Gunung Tahan)やキャメロンハイランド)
- Picus canus dedemi(インドネシアのスマトラ島(標高約1,000-2,000m)の高地森林)
生態
森林や林地に生息。 日本では、北海道の平地から山地にかけて落葉広葉樹林や針広混交林、針葉樹林に生息し冬季には海岸の林地のほかときに市街地でも見られる。
形態と同様に習性もアオゲラに似る。群れは形成せず、単独もしくはつがいで生活。 鳴き声は「キョッ、キョッ」と連続して鳴く。雄は繁殖期に「キョウ、キョ、キョ、キョ」と聞こえる甲高い声。「ギッ」とも鳴き、警戒や威嚇として巣内および周辺で「ギョッギョッ」と、濁る声で鳴く。また、飛翔するときに、よく「ケレケレケレッ」と鳴くことがある。
食性は雑食で、主に昆虫類およびその幼虫、クモのほか、果実、種子等も食べる。木々を移動しながら餌を探して採食。
ヤマゲラのことをアイヌ語では「コロルセ」(木・コロローと鳴く)などと称した。
私見
個人的には北海道に生息するキツツキの中では一番好きだ。鳴き声が大変特徴的なので、森を歩いていて彼らの声が響くと、「ああ、帰ってきたな」という気分になる。北海道で森に入ると春夏秋冬、いつでも迎えてくれるキツツキたち。もはやキツツキを観ない日などない、というくらい、たくさんのキツツキが生息している。ヤマゲラは広く世界に分布しているが、東南アジアや中東では標高1000mを越える森林にしか生息していないというから、おそらく涼しいところを好むキツツキだ。