2020
15
Aug

撮影記

北海道で初めて出会った好蟻性昆虫を撮影したときの話。

[この記事は、2017年に作成した自身のブログから再編したものである。]

みなさんはエゾアカヤマアリというアリをご存知だろうか?

高地を代表するヤマアリの仲間で、8メートルにも及ぶ巨大な巣(コロニー)を作ることもある大型のアリだ。

攻撃性はとても強く、アリの巣の前にいると所狭しと登ってきて、噛み付いてくる。

そんなアリだけど、

僕はこのアリが好きだ。このアリに限らずとも、北海道を北海道たらしめる生命に、僕は目がない。

ずっと北海道に住んでいてわからなかった希少性が、数々の旅によってわかるようになってきたのかもしれない。

本州でもこれらの生き物は山奥でひっそりと暮らしているが、北海道は気温が低いから、この手の高地性の生き物たちは基本低地でもみることができる。

固有種ではないが、立派な北海道の個性。そんな生き物たちを観ることが、僕の生きがいだ。

2017年、夏の羅臼岳を登っていた時のこと。

知床で友達と夏の登山を楽しんでいた僕が見つけたのは、エゾアカヤマアリと、その周辺を飛んでいる不思議なハチ。

最初はなんだかわからなかったが、後々「ヒアリ警察」さんに話を聞いてみると面白い返事が返ってきた。

[ヤドリコマユバチに気づき、威嚇する一匹の働きアリ。]

なんとこのハチは「エゾアカヤマアリヤドリコマユバチ」という、「エゾアカヤマアリ」を専門に寄生するコマユバチの仲間。観察例は数例ほどしかないらしい。

この話を聞いた時、僕は幸運を噛み締めたと共に、世界はこんなにも広いのかと感じた。

こんなに小さい生き物の、知られざる生態を垣間見ていたなんて。

このようにアリの生活に溶け込み、共生したり、寄生する種類は「好蟻性昆虫」と言って、きっと僕たちのすぐ家の脇のアリの巣にも、姿を潜めている。

ヒアリ警察さんは、続けてオススメの本を紹介してくださった。「アリの巣の生き物図鑑には、沢山の好蟻性昆虫が紹介されていて、その中にエゾアカヤマアリヤドリコマユバチも載っています。」と。

その本を初めて観た時、僕は驚いた。

僕は炎天下の中「新種ではないか」なんて思ったりしながら、ウキウキ撮影していたけど、僕が一生に一度観れて幸運だろうなと思ってしまうレベルの虫を当たり前のように載せているのがこの図鑑だった。

丸山宗利さんが関わっている本は本当にいつも熱がこもっていて、昆虫愛に溢れている。

ブログは中学生の頃からたまに読んでいるし、先生から影響を受けたものは非常に多い。僕のエッセンスの一つと言ってもいいかもしれない。

僕は知られざる世界を観ることに、生きがいを感じている。その中でも特に人間とかけ離れた世界を見せてくれるのは、他ならぬ昆虫だ。

僕は自然写真家の一人として、昆虫の知られざる世界をもっと世に出していきたい。

それが僕の知らない世界を沢山見せてくれた昆虫への、せめてもの恩返しなのかもしれない。

丸山宗利さんの本を手に取りながら、

最近はそんなことを思う。

僕が使用しているカメラレンズ一覧

 

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