ヒアリレポート

備忘録として記す。人にわかりやすく伝えることや、面倒な説明はしない。これは2017年の夏、僕がレポートとして書いた超個人的な文だという事を念頭に入れて欲しい。(訂正12/11)

1.ヒアリの現状について(2017年7月)

近頃都市近郊で定着が危ぶまれているヒアリ。10年程前からヒアリが日本にやって来ることは予想されていたが、これまで特に取り沙汰されることは無かった。

2017年5月下旬に兵庫県尼崎市のコンテナ内で500匹超(女王アリ2匹を含む)ヒアリを確認した事をきっかけに、各地の港でヒアリが発見されている事態となっている。

7月4日 大阪港で見つかった死骸約50体、(女王アリの死骸含む)に関してはアスファルトの割れ目の土の中から発見されており、アリ塚などは形成されていない事から、現在ヒアリ定着には至っていない。

2.侵入経路・生態系影響・管理・対策

神戸、名古屋、大阪で発見されたヒアリの侵入経路は中国 広州市から来たコンテナによるものである。元々南米原産であったヒアリは、1930年代にアメリカに侵入したと言われており、それ以降オーストラリア、台湾や中国を含む環太平洋諸国まで分布を広げている。

ヒアリの毒はアルカロイド毒のソレノプシンが主成分であり、ソレノプシンは膜表面タンパク質の機能阻害、アセチルコリン伝達阻害を起こす。ヒアリに刺されても漂白剤を同量の水で薄めて患部を洗浄し、かゆみを抑える抗ヒスタミン剤や細菌感染を防ぐ薬を塗っておく程度で良く、アナフィラキシーショックを起こしても病院で処置を施せば大丈夫である。

何度も繰り返し刺す強暴性や、公園や空き地などの明るい砂地に巣を作る生態はやはり危険であるものの、近頃テレビや新聞で広く知られている「殺人アリ」という報道は大げさであると言える。

人間に対する直接的な害の他に、ヒアリは生まれたばかりの脊椎動物を襲う習性があるため、家畜の仔が殺されるなどの被害も挙げられ、対策するにもコストがかかり産業面での影響は莫大である。希少な野生動物など生態系に影響を与えることも示唆されるだろう。

ヒアリにより土地の価値が下がる事、ヒアリが電線をかじるなどして電気系統にダメージが与えられる事などを含めると、ヒアリによる被害は広範囲に及ぶことがわかる。アメリカではヒアリによる経済損失は年間で50~60億ドルとまで言われており、深刻さを物語っている。

では、どのような対策を講じれば良いのか。幸いまだ初期の段階であることから、外来種駆除で最も重要なポイントである”水際対策”として発見した地域での徹底した駆除は勿論、定着する危険性の高い関東以南での警戒が必要である。

正直な所、これまでは見つかっていなかったのではなく、注意して見ていなかっただけなのではないかと言わざるを得ない現状から、外来生物を含む野生動物の認識を深めるためにも各県、役所に専門家を配属する事も考えた方が良い。

一方で殺虫剤などを用いて疑わしいアリそのものを根こそぎ駆除する行為は、現在数が少ないヒアリに対して労力に見合わないばかりか、ヒアリの競争相手を減らす事で定着しやすい環境を作り出してしまう行為であるので、それだけはしてはならない。

現時点では正確なヒアリの把握と、徹底した駆除だけが頼りである。

というかそれが確実。

そして、このヒアリパニックに乗じてヒアリ以外の外来生物も駆除活動がスムーズに行われるよう、仕組みを作る事ができれば…と僕は思う。(2017年7月 高橋怜央)

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