星野源が嫌いだった話

高校3年の頃、

ガチで惚れた女の子がいた。

受験期真っ只中のその時期に女の子と付き合うというのは、不器用な僕にはかなり大変なもので、正直後悔ばかりが残っているが、今回は、そんなことより星野源の話がしたい。

はじめに言っておきますが星野源は大好き。今はね。

星野源は「SUN」と言う曲で初めて知った。阿部サダヲさん主演のドラマ、「心がポキっとね」の主題歌である。

なんとなく聞く機会が増えてはいたが、

”大して歌が上手いわけでもないのに音楽家気取ってるヤツ”

”イケメンでもなく下ネタばかり言う癖に女に好かれる個性的な男”

…正直星野源の事はそんな風にしか思っていなかった。

そんなある日彼女が、会話で星野源をふと話題にするもんだから、僕は当然気分がよろしくない。

「35歳のおじさんなのに、楽しそうにダンスしてて、凄いですよね。」

微笑む顔はとても素直で、可愛く見えた。

対して、僕の答えた一言は

「時よ(曲の名前)くらい俺も歌えるよ?(訳:こんな奴のどこが良いんだよ?ただのおっさんだろ!)」

当時の僕は生真面目で、下ネタはおろか気の利いた立ち振る舞いも出来ない、ひねくれ男。正真正銘、心も体も、ピカイチの童貞だったのだ。

まぁ、当然何ヶ月後かに振られて、

落ち込む。

振られた時にも言い訳ばかりしていた記憶しかなく、あまり思い出したくないが、「元々合わなかった」とか言ってた気がする。笑

三日三晩泣いて、どうしようもなかったので、音楽を聴こうと星野源を聴いてみた。

するとどうしてだろう、すらすら入ってくる。お世辞にも上手いとは言えないと思っていた、あの星野源の声が、心に沁みた。

何故だろう。

いつのまにか僕は、

星野源を聴くようになっていた。

何か不思議な魅力に取り憑かれ、手が止まらなかった。過去のドラマ、映画から、書籍、ラジオ放送まで…

そしてついに僕は、星野源がラジオで話していたあるフレーズに、気づかされる事になる。

星野源が思う「自分に自信が持てる」という事 【YouTube引用】

聞くと、星野源は30歳近くなるまで、自分に自信が全く無かったという。

「例えば10代のときとかも、思春期モテたいとか思うわけじゃないですか。でも容姿、顔とかね、スタイルとか、自分のファッションセンスとか、良いと思ったことは一度もないわけです。朝、鏡で顔を見て変な顔だなあって(笑)。はあ……ってなりながら、学校に行くわけです。服着てても変な服だなあって思いながら(笑)。どうやったらファッションセンスって良くなるんだろう、みたいな。親からも、あんたはブサイクだしスタイルも良くないから、人の3倍努力しなさいって言われて育ったので、自信なんかもちようがないわけです。自分っていうものが人より劣ってるんだっていう風に思ってずっと生きてきたので…」

「そんななかで、20代のとき、それの思いみたいなのが、悪い意味で悪い方向にルサンチマンとして溜まってどうしたかというと、イケメンを憎むわけですよ(笑)。どうしようもないんですけど。かっこいいものをまず憎むわけです。で、今度は、かっこいいものってかっこ悪いよね、みたいなことを言い出すじゃん(笑)。いちばん情けないパターン(笑)当然人からも嫌われて行くわけです。でもそれって凄いカッコ悪いなと。」

思わず唾を飲んだ。まるで言い当てられているかのようだった。

自分に自信が全く持てなかった僕は、メロディラインから、詩の良さ、ギターの上手さ、役者としての演技力まで、星野源に対する嫉妬で、全く見えていなかった。

いつも、カッコいいものを嫌った。ギターなんて、カッコつけの代名詞だと思っていた。

しかし星野源は、なんでも誠実にやってのけた。ただ淡々と、自分の好きな事を。僕が振られてからやっと心地よいと感じるようになったあの声は、そんな星野源の素直さ、素朴さから来るものだった。

恐らく最初から、良さに気づいていないわけではなかったのだ。知らないふりをして、星野源のカッコよさを否定し、自信のない自分を肯定したかったのだ。そんな心の汚い部分を、見事に星野源に指摘されてしまった。

それと同時にどこか腑に落ちなかった「フラれた理由」もわかり、スーッと頭の曇りが晴れていくのがわかった。

「結局突き詰めたところまで行くと思えるのは、性格を良くするしかないんですよね。自分がかっこ良いと思うことをするしかない。あと、かっこ悪いことはしない。」

「かっこ悪い、これは恥ずかしいってことを頑張って“やらない”ってだけで、良い人が周りに増えていくから。そうすると、顔が変わってくるんですよ、人って。人の顔って、かっこ良くはなれないんだけど、中身が変わることによってその人が変わるでしょ。で、その人が変わると、ブサイクだとしてもブサイクの顔が良いっていう認識にみんななるわけです。その人の顔は良い顔っていうことになる。かっこよくなるわけ、その顔が。造形は変わってないんだけど。そうなると、良い人が周りに増えていって、自然と自分に自信がもてると思います。周りに素敵な人がいるっていう」

なんだよ星野源、

最高にカッコいいじゃないか。

この時から星野源は、

イケメンにしか見えなくなった。

星野源が嫌いだった話」への2件のフィードバック

  1. 失恋した後は自分でもびっくりするくらい曲の歌詞が心に響きますよね。こんなに感性豊かだったっけ?みたいな感じになりました。
    失恋後に関心を持てたアーティストが星野源さんでよかったですね!(そこは元カノさんに感謝ですね。)

    1. イモリさん、コメントありがとうございます…
      と呼ぶのはかなり久々なので懐かしい気持ちになりますね。(まさか別人?)

      星野源さんも、元カノさんにも、本当に感謝しています。星野源自身が持つエンターテイメント性や、曲が持つ「何気無さ」というものは辛いことがあった時にこそわかる大切なものなのかもしれません。

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